だって、そう決めたのは私
「なぁ、宏海。こうなったら、もう言うしかねぇんじゃねぇの?」
「何を? 何で機嫌がいいのって?」
「違うわ。好きですって。ちゃんと結婚してくださいって、そう」
「な、何言ってんの」
「お前は初心か。まだ思春期か」
「五十だよ」
「知ってるわ。そんなことで狼狽えんなって言ってんの。ちゃんと気持ちを伝えた方が良いだろって話だよ。仮に相手がいますって言われたら、お前また気持ち飲み込むだろ。『そっかぁ、分かった』とか言って、ヘラヘラ笑うだろ。それ一生引きずるぞ。だから、ちゃんと伝えろ」
そう言った幼馴染は、とても大人の顔をしていた。本気で叱ってくれている。まぁくんには敵わない。相手が彼だったら、スッと身を引くだけなのに。彼ではないだろうことを察してしまうと、見えない敵に怯えるばかりだ。でも彼の言うように、言えないまま終わってしまったら、一生後悔し続けるのは想像が出来てしまった。
「ねぇ、プロポーズって……どうしたらいいんだろう」
「はぁ?」
「だって、もう何年と一緒に住んでて、表向きは僕らは夫婦。次のステップに彼女を誘うならば、プロポーズってことでしょ?」
「いや、まぁそうだけど……俺に聞く?」
「それはまぁ……そうだけど」
二人で黙り込んだ。互いにそんな経験がないのだ。答えは出ない。徐ろに、まぁくんが携帯で何かを調べ始めた。僕も同じように携帯を取り出したけど、指が僅かに躊躇う。プロポーズの仕方、なんて検索するのは、僕の中での大きな一歩だったから。
「何を? 何で機嫌がいいのって?」
「違うわ。好きですって。ちゃんと結婚してくださいって、そう」
「な、何言ってんの」
「お前は初心か。まだ思春期か」
「五十だよ」
「知ってるわ。そんなことで狼狽えんなって言ってんの。ちゃんと気持ちを伝えた方が良いだろって話だよ。仮に相手がいますって言われたら、お前また気持ち飲み込むだろ。『そっかぁ、分かった』とか言って、ヘラヘラ笑うだろ。それ一生引きずるぞ。だから、ちゃんと伝えろ」
そう言った幼馴染は、とても大人の顔をしていた。本気で叱ってくれている。まぁくんには敵わない。相手が彼だったら、スッと身を引くだけなのに。彼ではないだろうことを察してしまうと、見えない敵に怯えるばかりだ。でも彼の言うように、言えないまま終わってしまったら、一生後悔し続けるのは想像が出来てしまった。
「ねぇ、プロポーズって……どうしたらいいんだろう」
「はぁ?」
「だって、もう何年と一緒に住んでて、表向きは僕らは夫婦。次のステップに彼女を誘うならば、プロポーズってことでしょ?」
「いや、まぁそうだけど……俺に聞く?」
「それはまぁ……そうだけど」
二人で黙り込んだ。互いにそんな経験がないのだ。答えは出ない。徐ろに、まぁくんが携帯で何かを調べ始めた。僕も同じように携帯を取り出したけど、指が僅かに躊躇う。プロポーズの仕方、なんて検索するのは、僕の中での大きな一歩だったから。