だって、そう決めたのは私

第5話 後悔

「宏海くん、ごめんね。飲ませ過ぎちゃった」
「いえ。まぁ……今日は仕方ないですから。カナちゃんの話聞いてくれて、ありがうございます」
「暁子、休みの日に、愚痴聞いてくれてありがとうね」
「いえいえ。今日はもうゆっくり寝なさい。また明後日ね」
「うん。じゃあ」

 一人で帰れると言ったが、暁子はそれを許さなかった。飲みすぎた自覚はあるけれど、真っ直ぐには歩けるのに。きっと、ここから一人で帰る私が心配だったんだと思う。だから彼女の言うように、素直に宏海を呼んだ。今日くらいは、誰かに甘えてみようかな。なんて、自分が弱っている自覚もあったから。

 小さくなる暁子の背を見つめる。自分を許してあげて。彼女がそう言った言葉を、何度も何度も反芻していた。私も幸せになっていいの? 暁子の言葉を思い出して、脳内はそう繰り返すが、答えは分かっているのだ。どんなに優しい声を掛けてもらっても、結局は自分が許せないのだ、と。

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