だって、そう決めたのは私
「これでどうかな」
「お、いいね。じゃあお茶にしようか」
「ホットコーヒーがいい」
「はいはい。分かったよ」
仕事が終われば、彼は一気に可愛らしくなる。ギラッとした仕事の目つきではなく、クリッとした目を輝かせるのだ。そこにまだ少年らしさが残っていて、見てくれの差異に時々笑ってしまう。今だって、皿に出し始めたクッキーに目が釘付け。厳つい見た目に反して、甘いものが好きなのも可愛らしいポイント。あんまり言うと拗ねるから、心の中で思うだけにしているけれど。さっきまでの凛々しい顔はどこへやら、である。
「はい、どうぞ。お疲れ様。今回もありがとうね」
「いえいえ。今度は何を作るの? 暫くは、これの制作だろうけど」
「そうだね。次は、木工作家さんとのコラボが進んでるよ。まだ落とし所は相談してるけど、僕は革から離れて、帆布を使おうかなって思ってるの」
「へぇ。宏海くん、そういうのもやるんだ」
「やるんですよ。これが」
楽しみ、と言いながら、丈くんはクッキーを咥える。その腕には、あまり見かけない腕時計。ここのところ、色んなブランドの物を見てきたけれど、初めて見る物だった。
「お、いいね。じゃあお茶にしようか」
「ホットコーヒーがいい」
「はいはい。分かったよ」
仕事が終われば、彼は一気に可愛らしくなる。ギラッとした仕事の目つきではなく、クリッとした目を輝かせるのだ。そこにまだ少年らしさが残っていて、見てくれの差異に時々笑ってしまう。今だって、皿に出し始めたクッキーに目が釘付け。厳つい見た目に反して、甘いものが好きなのも可愛らしいポイント。あんまり言うと拗ねるから、心の中で思うだけにしているけれど。さっきまでの凛々しい顔はどこへやら、である。
「はい、どうぞ。お疲れ様。今回もありがとうね」
「いえいえ。今度は何を作るの? 暫くは、これの制作だろうけど」
「そうだね。次は、木工作家さんとのコラボが進んでるよ。まだ落とし所は相談してるけど、僕は革から離れて、帆布を使おうかなって思ってるの」
「へぇ。宏海くん、そういうのもやるんだ」
「やるんですよ。これが」
楽しみ、と言いながら、丈くんはクッキーを咥える。その腕には、あまり見かけない腕時計。ここのところ、色んなブランドの物を見てきたけれど、初めて見る物だった。