だって、そう決めたのは私
雑談をしているうちにアルコールが届き、飲み始めればすぐに『いつもの飲み仲間』の雰囲気だった。五十嵐くんの醸し出す親近感と、暁子が彼に対して嫌悪感を抱いていなかったことが大きかろう。それに何より、モカ様という話題もある。これが恋愛的な進展なのかと問われると首を傾げざるを得ないが、今までよりはずっと良い関係性が出来たようには見える。きっと失敗ではないはずだ。
「渉くん、いい子ねぇ」
五十嵐くんがトイレに立った時だった。ほろ酔いの暁子が、そう言う。驚きと安堵感が私の中に広がった。
私たちはいつも、二人で飲むか仕事仲間を交える程度。こういう他者を交えた飲み会は、初めてに等しい。暁子が嫌がるのではないかと不安はあったが、心配はいらなかったようだ。いつの間にか暁子は《《渉くん》》と呼んでいるし、ずっと楽しそうに見えた。
「暁子、珍しね。ちょっと酔った?」
「うん。ちょっとだけね。仕事以外でさぁ、何か久しぶりに若い子と飲んだから。あ、あの子っていくつ?」
「うぅん……多分、四十過ぎた辺りかなぁ」
「四十か……私なんておばさんよねぇ。もうちょっと若かったら、気軽に飲んだり誘えるけど。ふふふ、変なおばさんたちに毎回引っ張り回されるんじゃ、申し訳ないわね」
「あ、私も入ってる」
「当然でしょ」
そりゃそうだ、と笑ったけれど……これって、好感触なのでは? それが恋愛的な感情でなかったとしても、こうして三人で飲むのは厭わない気がする。もしかしたら、二人で遊びに出かけるくらいの友人にはなるのではないか。それはそれで、私としては嬉しい。茉莉花にも報告しなくっちゃ。
「渉くん、いい子ねぇ」
五十嵐くんがトイレに立った時だった。ほろ酔いの暁子が、そう言う。驚きと安堵感が私の中に広がった。
私たちはいつも、二人で飲むか仕事仲間を交える程度。こういう他者を交えた飲み会は、初めてに等しい。暁子が嫌がるのではないかと不安はあったが、心配はいらなかったようだ。いつの間にか暁子は《《渉くん》》と呼んでいるし、ずっと楽しそうに見えた。
「暁子、珍しね。ちょっと酔った?」
「うん。ちょっとだけね。仕事以外でさぁ、何か久しぶりに若い子と飲んだから。あ、あの子っていくつ?」
「うぅん……多分、四十過ぎた辺りかなぁ」
「四十か……私なんておばさんよねぇ。もうちょっと若かったら、気軽に飲んだり誘えるけど。ふふふ、変なおばさんたちに毎回引っ張り回されるんじゃ、申し訳ないわね」
「あ、私も入ってる」
「当然でしょ」
そりゃそうだ、と笑ったけれど……これって、好感触なのでは? それが恋愛的な感情でなかったとしても、こうして三人で飲むのは厭わない気がする。もしかしたら、二人で遊びに出かけるくらいの友人にはなるのではないか。それはそれで、私としては嬉しい。茉莉花にも報告しなくっちゃ。