手袋、片方ずつ


──────グイッ!



と、おもむろに詩月くんに腕を引かれたかと思えば。



「〜〜っ、詩月くんっ、なにしてっ、」



私は、あっという間に詩月くんの腕のなかで。



そのまま、詩月くんは........................



「......っ、雪歩が恋したいとかしらねぇ、」



耳元で囁くように、切なげな声を落とした。



「〜〜っ、う、詩月くんっ、」



ここは廊下で、
詩月くんは人気俳優なのに。



起きてる状況に、
まったく、頭が回らないままでいると。



「俺は雪歩しか見てない」



詩月くんはそう言うと、私でも分かるように。



「ちゅっ」と音を立てながら。



私の耳に、
──────きっ、キスをした!?


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