手袋、片方ずつ
「...............っ、誤解、されたままは嫌、だよ、」
そう呟いた瞬間。
──────ギュッと。
〝何か〟に包まれる感触がして。
「雪歩、誤解って............?」
その直後、
聞こえてきた詩月くんの声。
「〜〜っ、あ、いや、」
突然の距離にビックリして、
誤魔化しながら、慌てて離れようとしたけど。
「俺から離れるとか許さねーから」
私が離れる前に、
さらに強く抱きしめてきた詩月くん。
「............っ、」
今日の詩月くんが分かんないっ。
予測不能の行動だ。
いま、詩月くんはたぶん怒ってるけど。
詩月くんが怒る意味すら分からないっ。