手袋、片方ずつ
「............湯田のこと、
指差した時、マジ焦ったからな」
なんだか不服そうな詩月くんの声。
「.........ぅ、そ、れは、ごめんなさい、」
咄嗟に指差したもんだから、
確認してなかっただけ..................
なんてこと、
もうきっと、詩月くんにはバレてると思う。
「ふっ。誤魔化したの、
なんとなく気づいてたけど。
けっこー、焦ってヤバかった」
「......っ、ごめ、もう、
誤魔化したり、嘘つかないもん、」
誤魔化しも、嘘も、
詩月くんは、
いつもいつも簡単に気づいちゃう。
私なんか、
全然足元に及ばないくらいカッコよくて。
──────自慢の幼なじみ。