手袋、片方ずつ
だから、
そんな詩月くんに驚いて...............
「〜〜っ、うぅ、し、詩月くんっ、
どっ、どの辺聞いてた.........の?」
慌てて質問してみると。
「〝変〟ってとこと、〝内緒〟ってとこだけ」
言葉を強調しながらも、
シンプルにそう答えてくれた詩月くん。
(よ、良かった......ブツブツ告白してなくて、)
詩月くんの答えに、
心の中で、ひと安心したと同時。
「俺、雪歩に内緒にされるとか嫌なんだけど」
ほんのちょっと、
怒ったような詩月くんの声。
だけど........................
絶対に、詩月くんにバレちゃだめだから。
「............っ、詩月くんには絶対内緒!!」
私はそう叫んで、
手袋を取って、詩月くんに押し付けると。
──────そのまま教室まで走った。