手袋、片方ずつ
「.........うぅ、ケンカはしてない......けど、」
「けど.........?」
「............っ、ぅ、美波ちゃぁぁぁん!」
もう、限界だった。
詩月くんのことが好きなのに。
何も言えなくて.....................
そのくせ、
カップルのような登下校スタイル。
モヤモヤするのにドキドキしちゃうし。
抱えてるものが多過ぎて、
無意識に、溢れて出て来る涙。
そんな私の肩をポンポンッと、
叩きながらあやしてくれる美波ちゃん。
だけど.....................
「雪歩...............ちゃん、」
美波ちゃんが発した言葉に違和感を覚えた。