手袋、片方ずつ
私は、ずっと〝美波ちゃん〟と呼んでるけど。
美波ちゃんは、
私のことを、2人だけの時は呼び捨て。
だけど...........................
詩月くんがいる時は、
なぜか、〝ちゃん〟が付く。
本当に不思議だし、
なんで変わるのか分からないけど。
その微妙な違和感に、私は気がついたから。
ふと視線を、
美波ちゃんの後ろに向けると。
バチッと、
詩月くんと視線がぶつかって。
「雪歩............誰に泣かされた?」
そう問いかけて、
じっと見つめて来る詩月くん。
(............っ、早く、泣き止まなきゃ、)
心の中ではそう思うのに。
全然泣き止めなくって...............
気づけば、
──────詩月くんに腕を引かれていた。