手袋、片方ずつ


***



腕を引かれて出ただけの教室の外。



つまりは、廊下。



「...............で?誰に泣かされた?」



詩月くんは、
泣き止めない私に問いかけてくる。



だけど........................



詩月くんとのこと、
考えて〝泣いた〟なんて言えないから。



「...............っ、ぅ、自分で泣いた、だけ、」



そう言うのが精一杯で。



「ほんとに?
雪歩、嘘ついてない?」



ちゃんとした、
〝理由〟を言ってないから。



覗き込むように見て来る詩月くん。



(〜〜っ、こんな時まで詩月くんはズルいっ!)



こんなんだから、
詩月くん離れできないっ。


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