湯田くんのマフラー


まるで、
〝一緒に来たくなかった〟



そう捉えられても、
おかしくない言葉を言う湯田くん。



私は、空気を壊さないように必死で。



言葉すら発せられなかったのに...............



「湯田くんってば、なんてこ、」



〝なんてことを!〟



私がそう言う前に。



「僕も、美波と、
デートしたかったから2人にしてよ」



湯田くんから、
耳を疑うような言葉が出てきた。



〝デート〟という単語と、
〝美波〟という呼び捨て。



ずっと、片想いしてた飛岡くんよりも。



クラスメイトの男の子たちの誰よりも。



1番早く、
私の名前を〝呼び捨て〟にした湯田くん。



そんな湯田くんを見て、
不覚にも、カッコいいと思ってしまったのは。



──────湯田くんには内緒だ。


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