湯田くんのマフラー
(ど、どうして...............っ?)
そう心の中で思って、
湯田くんに問いかけようとした時。
「ずっと、2人のこと見てるのに、
気持ち言わないのとか、強いなって。
たぶん、それが川原さんのこと、目で追うようになった最初」
ゆっくりと、
聞き取りやすいように話し始める湯田くん。
「でも、それから、なんか、
川原さんのことほっとけなくて。気づいたら、僕が笑顔にしたい、って思うようになった」
湯田くんは、マイペースで。
何を考えているのかも分からないのに。
そんなことを思ってくれていたなんて。
全然知らなかったから、私は、きっと、
湯田くんを傷つけたりもしたと思うのに。