湯田くんのマフラー
「あー、あれは、隣のクラスの子。
んで、僕のイトコの榎本明里」
嘘ついてるわけでもない声色で、
正直に話してくれた湯田くん。
榎本明里さんと言えば。
隣のクラスで可愛いって有名だけど。
「............まさか、イトコだったなんて、」
驚いて、復唱するぐらいしか出来ない私。
なんか、
一気に1つ、悩みが吹き飛んだ感覚。
それに陥って、ボーッとしていると。
──────ギュッと、
湯田くんに両手を握られた。
「〜〜っ、ゆ、湯田くんっ、」
いきなり、こんなことするなんてズルいっ!
そう思うのに、離したくない自分がいて。
ほぼ無意識に、
私も湯田くんの手を握り返すと。