湯田くんのマフラー
湯田真冬くん。
毎年、誰よりも早く、
──────マフラーを巻く男の子。
彼は、マイペースで、
何を考えてるのか分からないけど。
でも、誰よりも優しくて。
マフラーのように暖かくて。
「〝彼女〟って思うとなんか、したくなる」
「〜〜っ、いちいち口にしなくていいです!」
でも、実は直球なとこもあって。
「............じゃあ、口にしていい?」
「〜〜っ、それはまだ、だめ、です、」
時々、話しが通じないところもあるけど。
「...............ざーんねん」
「〜っ、今はこれで許してください、」
私なりの勇気で、
──────ギュッと、湯田くんを抱きしめた。
だって、
私は、湯田くんのマフラーで〝彼女〟だから。
fin.