極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 取り巻きはいつも従順だ。例えば私がバッグが欲しいと言えばすぐに買ってくれるし、私の悪口を陰で言っている子がいればその子を懲らしめてくれる便利な存在だ。
 私は誰かに気を遣うのは嫌いだが、そんな便利すぎる取り巻きが私から離れてしまうのは非常によろしくないのも両親の振る舞いを見て理解していた。なので小学校の頃からそんな取り巻きに対しては優しく振舞ってきたつもりだ。自分の気持ちを押し殺して。
 初恋は小学校5年生の時。同じクラスの男子だった。おとなしいが成績優秀で運動神経も抜群。名門サッカーチームのキッズクラブに所属していて将来は日本代表入りも期待されていた子だった。

「ねえ、私と付き合って」

 彼を放課後、体育館裏に呼び出して告白した。しかし彼はきょとんとした顔を見せたままだった。

「付き合うって何?」
「え? 恋人同士になりたいって事だよ!」
「俺、そういうのまだよくわからないからごめん。古田さんの事は嫌いじゃないけど」
「……」

 玉砕だった。しかも理由は恋愛が分からないから。私はその日の夜。悔しくてベッドの布団の中で泣いた。
 彼が私の思い通りにならないうえに、彼の思考が私と釣り合わなかった点がとても悔しかったのだ。

(絶対、欲しい男は手に入れてやる!)
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