極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「私は玲さんにお任せします」
「……分かりました」

 私の達はゆっくりとした足取りでもう一度個室ラウンジに戻った。

「ただいま」
「玲、どうしたんだ?」
「……元気と夏子さん。今から話す事は内密にしてほしい」
「分かった。なんだ?」
「実は私達、本当に結婚している訳では無いんだ。所謂契約関係にある」

 玲が正直に事実を伝えると、夏子は口元を両手で抑え驚きを見せたが、元気はふぅん。と特に驚きは見せなかった。

「元気さては驚いてないな?」
「ああ。だってわかってたし」

 元気にはどうやらお見通しだったようだ。なぜ分かったのかと玲が言うと指輪だ。と答える。

「契約結婚してたりと夫婦を演じている男女は結婚指輪をしていない事が時々あるからな。だからだよ」
(へぇ……)
「お前詳しいな」
「友人が実際にやってたからな。子供が出来てからは別れて元の関係に戻ったらしいけど。お前達は今後どうするつもりなんだ?」
「……」
「いつまでも契約関係にいる訳にもいかないだろ」

 元気の正論が私の頭の上に重くのしかかる。実際この関係がいつまで続くのか分からない。それにいつかは終わりが来るかもしれない。

「確かにそうだな。考えていなかった……」

 玲の重苦しい声が個室内に響き渡る。
 しかしそんな彼の重苦しいこえを振り払うように元気がソファから立ち上がった。
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