極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「誰と話してるのかしら?」
「え……?」

 いつの間にか目の前には美幸が立っていた。白いYシャツに黒くてミニ丈のタイトスカートに網タイツと白いヒールというファッションに身を包んだ彼女は高圧的に私を見下ろしている。

「……雪乃さん、どうしました?」

 スマホから聞こえる玲の声に美幸は気がついていないようだ。私は玲にすぐかけ直すと言って一旦電話を切った。

「すみません。電話中でした。もう終わりましたので」

 とりあえずは美幸に電話中だった事を謝罪してみた。美幸はふぅん。と鼻を鳴らす。

「会社勤めなだけあって礼儀は正しいのね」
「まあ、しごかれて来ましたので。古田様ですよね。何かうちの会社にご要件でもおありですか?」

 私が美幸に対してOLモード……へりくだっているのはなるべく揉め事を起こしたく無いからだ。ここで宣戦布告したい気持ちはあったが、それは辞めた。何かあってはまずい。
 それに美幸がどのような人物かを知りたいとも少し感じたのもある。

「ああーー……別にそこまで事務的に応対しなくても良いのよ?」
「いえ、私はいつもこんな感じですから」
(玲さんにはいつも敬語だから嘘じゃない……はず)
「へぇ、だから玲さんがあなたを気に入っている訳ね」
 
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