極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 母親はまた失神しそうになるのを私が肩を揺らしながら阻止する。とりあえず母親を説得し私と玲は家の中に入る事になった。ちなみに父親は仲間と釣り旅行に出かけているため不在だ。

「失礼します」
「すみません、汚いですけど……」
「いえ雪乃さんのお母様。おうち綺麗ですよ」
「いやいやそんな……」

 デレデレと笑う母親の顔がなんだか気味が悪い。それを突っ込む事はせず心のうちにとどめながらリビングに向かった。母親は夕飯は食べたかと私達に聞いてきたので私はもう食べたと返す。

「雪乃何食べたの?」
「イタリアン」
「どこのお店?」
「あ、玲さんの家にシェフ呼んでもらって、それで……」
「ひえーー……値段は?」
「玲さんがお支払いしたはず」
「てかあんた服それどしたの? 普段そんな服着ないじゃない」
「これも玲さんからも貰って……」
「ひぇーー……至れり尽くせりじゃない……ばちがあたりそうで怖いわ」

 母親の声がどんどん細く小さくなっていった。ばちがあたりそうという気持ちも分からなくもないが……
 その後母親に白い革のソファに座るように促された私と玲はそろってソファに腰掛けたのだった。

「えっと……娘がお世話になっております」
「いえいえ。こちらこそ。雪乃さんは会社でよく頑張っていますよ」

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