極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 十和が19になった時。彼女は外交官の息子と婚約した。父親同士が同じ学校のクラスメイトという繋がりから生じた婚約話だった。十和が大学を卒業したら結婚するのも決まっていた。
 
「十和、良かったな」
「ありがとう、お兄ちゃん」

 婚約が決まった十和は本当に心の底から嬉しそうな笑顔を玲と両親に見せていた。

「十和、幸せになれよ」
「何かあったらお母さん達を頼るのよ」
「うん。ありがとう」

 しかし、十和の幸せはたった少しだけで終わる事になる。
 まず、十和の婚約者は玲同様文武両道の爽やかイケメンとして学校の垣根を超えて有名な存在だった。その為多くの令嬢が彼を狙っていたのだ。
 そしてその令嬢の中にいたのが、古田美幸という人物である。美幸は茶髪のワンレンロングヘアに韓国風のメイクとファッションをしており、有名企業の孫娘かつSNSで影響力を持つインフルエンサー。そんな美幸は十和とは高校時代から同じ学校に通っていたのであった。
 十和が自身の狙う男性と婚約したと知った彼女は、すぐさま十和から婚約者を寝取るべく行動を起こした。

「あの、良かったら今夜一緒にご飯行きませんかぁ?」
「すみません、予定があるので……」

 最初、美幸は十和の婚約者からはほぼ相手にされていなかった。それが美幸を更に駆り立てる事になる。
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