極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 この話の経緯を説明すると、まず美幸はレストランに仲間と共に十和の婚約者を誘い出し、わざと十和の婚約者に自身の胸を触らせた。

「あっ……」
「……触りましたね?」
「あっ、す、すみません!」
「女性の胸を触るなんて良くないですねぇ」
「すみません……すみません!」

 必死に謝る彼に対して、美幸は私の言う事を聞けば無かった事にすると告げた。

「言う事って……なんですか?」
「私と婚約して。そして私を抱くの。無理なら警察に通報するわよ? 外交官の息子が警察沙汰なんて……親に迷惑かけたくないでしょ?」
「……っ」

 美幸の脅しに屈した十和の婚約者はそのままなし崩し的に疑心暗鬼が進み十和との婚約を解消したのである。
 彼は玲達が住まう家に1人訪れ、十和達に婚約破棄をしたいと告げた。

「ど……どうして」
「他に好きな人が出来たんだ。その人と結婚したい」
「その人って……」
「古田美幸って人。だから、すまない。それに俺は十和の事を信じられない。ほんとは他にも……相手がいるんだろう?」
「違う! いないよ!」

 この時。十和の婚約者は自分が美幸に脅された事は玲達には告げなかったのだ。
 

 
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