極上溺愛契約婚で甘やかされて～エステで出会ったセラピストは御曹司でした～

「何やら良くない話を聞きましたが事実ですか？　どう言う事か説明して頂けませんか？」

　勿論十和は事実無根である事を教授に告げたが、教授はあまり信用していなかった。

「十和さん、証拠はあるんですか？」
「……証拠も何も、全くの事実無根ですよ？」
「そう言えば婚約者から婚約破棄されたそうですが、もしかして関係あります？」
「……っ」

　追い詰められた十和。彼女を玲や両親は助ける事は出来なかった。両親は十和に家にいて大学にはいかなくて良いと慰めたが、SNSにも噂話は流れている。玲も何とか噂話を沈めるべくSNSで該当コメントを報告したりと行動はしたものの解決には繋がらなかった。
　父親の取引相手にも噂話が流れ始めた事で、玲は警察に相談しようとしたがそれは十和が拒否した。

「どうして。こんな誰がやったのか分からない嫌がらせが続くなら警察に言うしか無いだろう！」
「でもっ……警察に言ったら色々聞かれるじゃん。話したくないよ……」
「十和が話したくないならこっちが話すよ」
「それも嫌なの……！　もう、どうしたら……」

　そしてある日の朝。中々朝食を食べに来ない十和を母親が部屋へ呼びに行くと、そこには自ら命を絶った十和と彼女が死ぬ前にしたためた遺書が部屋の扉の前に置かれていた。