極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 玲からの提案に私はぜひ。と頷いて返事をした。あの先輩やお局達とはもう関わらないだろうし、もう大丈夫だろう。
 同僚や後輩から突っ込まれたらその時は適当に返せばいっか。

「櫻坂にある料亭はどうでしょう。実はもう予約してあります」
「ほんとですか?」

 もう予約してあるとは。その料亭に行く事が決まると玲はスマホでその店に電話をかけた。

「2名になりましたのでよろしくお願いします」

 車はいつの間にかビジネスエリアから駅の近くにある櫻坂へと入り、料亭と思わしき屋敷のすぐ目の前で停車した。

「玲さん、雪乃さん。到着しました」
「運転手さんありがとうございます」

 車を降りると玲が先導する形で料亭に入ると玄関には紺色の着物を来た仲居さんが2名出迎えてくれた。

「予約していた門倉です」
「いらっしゃいませ。御案内いたします」

 ベテランの雰囲気を醸し出す仲居さんに案内され、廊下を歩く。左側にはガラス越しに和風な外観の中庭が見えた。店内は昼時だが賑やかな様子は無い。時折ヒソヒソと話し声がうっすら聞こえては止むのを繰り返すだけだ。

「こちらです」

 廊下の右側にある個室に入る。畳敷きでよくテレビで見るような、かなりの広さの部屋だ。

「ご注文お決まりでしょうか?」

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