極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「今度またここに来ましょう。この街には他にも料亭やレストランもたくさんあります。雪乃さんもぜひ」
「い、いいんですか?」
「勿論。他にも行きたい場所や欲しいものがありましたら遠慮なく言ってください」
(なんか……顔が熱くなって来た)

 何故か熱くなって来た両頬を手で抑えようとしていると先程の仲居さんが飲み物とお手拭きを持って、ゆっくりと部屋に入って来た。

「お飲み物熱いのでお気をつけください」
「雪乃さん、熱いの大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫です」

 白塗りの湯呑みに入っているのはほうじ茶。表面からは湯気がうっすらと湧いて出ている。

「お料理出来ましたらまたお持ち致します」
「お願いします」
「お、お願いします」

 それからしばらくして、仲居さん2人がそれぞれ私達が注文した懐石料理を持って来た。
 鶏釜飯の入った釜のしたからは赤い炎がゆらゆらと燃えているのが見えた。玲が注文した懐石料理に含まれている釜飯の釜ともう1つの鍋の下からも、ゆらゆらと赤い炎が燃えているのが見える。

「火が消えましたら蓋を開けてください。釜飯はその時に混ぜて一度蓋をして蒸らすとなお美味しく頂けます」

 仲居さんは私達にそうアドバイスを残し、座礼をして去っていった。
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