極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「じゃあ、頂きます」
「頂きます」

 手を合わせて挨拶をしてから、ほうじ茶を1口飲み仲居さんが先程料理と共に持って来た漆塗りの黒いお箸を持つ。
 まだ火は消える様子は見られないので先におかずから食べていくのだ。

(美味しそうだなあ)

 私が注文した鶏釜飯の懐石料理のおかずは天ぷら数種類と茶碗蒸しに野菜のおかず2種。まずは野菜の煮付けから頂く事にした。

(ほうれん草のおひたしと、大豆とひじきの煮物か)

 ほうれん草のおひたしはほんの少し酸味が効いている。ポン酢で味付けしたのだろうか。酸味に加えてゆずの香りと思わしきものも口の中でふんわりと広がる。
 大豆とひじきの煮物も大豆がほくほくに柔らかく、ひじきも甘くて美味しい。

「美味しい……!」

 玲も顔をほころばせながら、お刺身をつまんでいる。お刺身はマグロ、サーモン、イカ、鯛、ハマチの5種類。盛り付けも扇状で豪華な見た目である。

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