極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 しばらくしてようやく火が消えたので、木造りの釜の蓋を取ると中から湯気と共に美味しそうな香りと具材たっぷりの鶏釜飯が顔を出した。ごろっとした鶏肉とにんじん、たけのこ、さやいんげんが入っている。
 一旦木製の小さなしゃもじで中をかきまぜてから蓋をして蒸らし、少し時間を置いてから再度蓋を開けてしゃもじでかきまぜてからピンクと白の丸い模様の入ったお茶碗によそっていただく。

「ふーーっ……」

 ぱくっとにんじんとご飯を口にする。しょうゆとだしに野菜や鶏肉から出た風味が幾重にも折り重なるように混ざり合い、美味しさを演出してくれる。

「美味しい……」

 玲の言う通り、釜飯はとても美味しい。味はこれくらいが丁度よい気がした。天ぷら各種も衣がさくっとしていて美味しい。
 これは何度も食べたくなる味だ。

「喜んでいてだけて何よりです」
「いえいえ、こんなお店があるとは……」
「ベリが丘にはたくさん美味しいお店がありますから。また一緒に行きましょう」
「ええ……!」

 食事を終えると私のお腹はいっぱいになる。これはちょっと食べすぎたかもしれないと思うほど、胃が膨れている。
 まだ余裕がありそうな玲に進められてしばらく休憩してから料亭を後にした。

「ごちそうさまでした」

 
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