ジングルベルは、もう鳴らない
第41話 どうして、今更
「本日はありがとうございました。いかがでしたか」
「えぇ、何だか凄く実感が湧きました」
斎藤は嬉しそうだった。他部署の人間と顔を合わせ、いろいろと感じるものがあったのだと思う。その表情が、全てを物語っている。彼は初めての人に会うたび、スッと余所行きの顔になった。樹里に会うのとはまた違う顔だ。隣室だし、母親とも仲良くなった。友人までは行かなくとも、知人くらいにはなれたろうか。
「斎藤さんは凄いですよね」
二人の間にいる大樹が、徐にそう言った。目がキラキラと輝いている。頼むから、余計なことは言うな。そう視線をやっても、多分彼には伝わらない。
「お料理も上手だし、受け答えも大人って感じがして。憧れちゃいます。どうやったら僕も、斎藤さんみたいになれますかね」
「え? 僕ですか。いやぁ、この年になっても好きなことやってるだけですしねぇ。見本にもならないですよ」
「そんなことないです」
樹里がどんなに呆れた顔を見せても、やっぱり伝わらない。世代差なのだろうか。それとも個性と言うべきか。仕事に支障がなければ強く言うことでもない、と何とか自分を納得させた。
「えぇ、何だか凄く実感が湧きました」
斎藤は嬉しそうだった。他部署の人間と顔を合わせ、いろいろと感じるものがあったのだと思う。その表情が、全てを物語っている。彼は初めての人に会うたび、スッと余所行きの顔になった。樹里に会うのとはまた違う顔だ。隣室だし、母親とも仲良くなった。友人までは行かなくとも、知人くらいにはなれたろうか。
「斎藤さんは凄いですよね」
二人の間にいる大樹が、徐にそう言った。目がキラキラと輝いている。頼むから、余計なことは言うな。そう視線をやっても、多分彼には伝わらない。
「お料理も上手だし、受け答えも大人って感じがして。憧れちゃいます。どうやったら僕も、斎藤さんみたいになれますかね」
「え? 僕ですか。いやぁ、この年になっても好きなことやってるだけですしねぇ。見本にもならないですよ」
「そんなことないです」
樹里がどんなに呆れた顔を見せても、やっぱり伝わらない。世代差なのだろうか。それとも個性と言うべきか。仕事に支障がなければ強く言うことでもない、と何とか自分を納得させた。