ジングルベルは、もう鳴らない
第15話 少し不細工な象
「蕎麦屋のカレーもありですよね」
「そうね。カレーうどんのつゆとかも面白いかも知れない」
「確かに。アリですね」
問い掛けてくるメンバーに、樹里はいつものように応じた。頭の中では、商品化までのルートをなぞって計算している。
アンケートを経て、ミーティングを重ね、プロジェクトはカレーに舵を切った。リーダーとしての謝罪もし、今のような声が盛んに聞こえ出してホッとしているところだ。まぁ、ネチネチと文句を言い続ける人もある。だけれども、そんなことを気にしてはいられない。ただでさえ、予定よりも遅れているのだ。
「樹里さん。飴、舐めますぅ?」
ふざけた声が掛けられる。大樹だ。そちらを見る視線が鋭くなったのは、自分でも分かった。目を合わせた大樹は苦笑いして、人差し指で眉間を擦る。それから、どうぞ、とイチゴミルク味の飴をくれた。
「ごめん。ありがとう」
飴を口に放って、一息吐いた。優しい甘さが、樹里の中に広がる。
できるだけ柔和な顔をして仕事をしよう。舵を切ってからは、特にそう心に決めていた。だけれども、傍から見れば眉間に皺が寄っているんだな。やはり、まだまだだ。
「そうね。カレーうどんのつゆとかも面白いかも知れない」
「確かに。アリですね」
問い掛けてくるメンバーに、樹里はいつものように応じた。頭の中では、商品化までのルートをなぞって計算している。
アンケートを経て、ミーティングを重ね、プロジェクトはカレーに舵を切った。リーダーとしての謝罪もし、今のような声が盛んに聞こえ出してホッとしているところだ。まぁ、ネチネチと文句を言い続ける人もある。だけれども、そんなことを気にしてはいられない。ただでさえ、予定よりも遅れているのだ。
「樹里さん。飴、舐めますぅ?」
ふざけた声が掛けられる。大樹だ。そちらを見る視線が鋭くなったのは、自分でも分かった。目を合わせた大樹は苦笑いして、人差し指で眉間を擦る。それから、どうぞ、とイチゴミルク味の飴をくれた。
「ごめん。ありがとう」
飴を口に放って、一息吐いた。優しい甘さが、樹里の中に広がる。
できるだけ柔和な顔をして仕事をしよう。舵を切ってからは、特にそう心に決めていた。だけれども、傍から見れば眉間に皺が寄っているんだな。やはり、まだまだだ。