バレンタインと恋の魔法
端っこの方ですでに待ってくれていた流くんの車に近づくと、私に気づいたのか助手席の扉が開けられた。



「おはよう、咲良」


「お、おはよう」



黒のコートを着た相変わらず大人の色気を纏っている流くんに、早速ときめく。



「今日はどこ行きたい?咲良の好きなとこどこでも連れてくよ」


「えっとね…この遊園地!それで夜はこのでっかい観覧車に乗りたいな!」


「おっけー。わかった」



隣の県の最近できたばかりの遊園地に、最初は絶対流くんと行くと決めていた。


まさかこんなに早く叶うなんて思いもしていなかったけど。



「わー!でっかーい!」



写真で見ていたよりも全然大きなジェットコースターと観覧車に思わずはしゃぐ。



「ねえ流くん、まずはジェットコースター乗りたい!それで次はコーヒーカップ行ってー」


「はいはい、全部乗ろうね」



優しく笑う流くんの腕にぎゅーと抱きつく。


恋人だったら手とか繋ぎたいけど、私と流くんはただの幼なじみだしさすがにそれは我慢する。
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