バレンタインと恋の魔法
スマホで色々なバレンタインお菓子を眺めながら、ふとこの前買った雑誌に書いてあったことを思い出す。



「なんであげちゃダメなんだろ?…ん?へぇ、お菓子言葉って言うのがあるのか」



“バレンタイン クッキー あげてはいけない理由”で検索すると一番上に、クッキーのお菓子言葉=『友達でいましょう』と出てきた。


どうやらバレンタインにあげるお菓子にはそれぞれ意味が含まれているそうだ。


他にも見ていくと、あるお菓子で手が止まる。



それは私たちにぴったりのお菓子、そして流くんの一番好きなお菓子だった。





学校が終わり一度家に帰ってから、流くんの家のインターホンを鳴らしにいく。


流くんはすぐに出てくると、にこやかに中に招き入れてくれた。


休日だからかいつもセンター分けにセットしている髪の毛が今日はすとんと落ちていて、昨日とは違う雰囲気の流くんに少しだけどきっとする。



「母さんと父さんはまだ帰ってきてないんだ。多分五時前には帰ってくるけど」


「そうなんだ。…流くんの部屋ってまだ残ってるの?一人暮らしする時に物とか全部持っていったんだよね?」


「ああ、部屋行く?服と本くらいしか持っていってないから、割とそのまんまなんだよね」



久しぶりに入った流くんの部屋は、たしかに物が少なくなっているけど私の記憶の中とあまり変わっていなかった。



「懐かしい…。流くんの家でよくゲームしてたよね」


「してたね。多分まだあると思うよ。する?」
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