バレンタインと恋の魔法
「へぇ、なんだか幼なじみの俺らにぴったりなお菓子なんだね」


「うん。私はこれからも流くんとずっと一緒にいたい。…でもそれは、幼なじみとしてじゃない。十歳も離れてて、流くんにとってはただの妹かもしれないけど、それでも私は…んぐ…っ!?」


「ちょ、ちょっと待った」



突然流くんが私の言葉を遮るようにして片手で口を塞いできた。


反対側の手で自分の顔を押さえていて、その耳はなぜか赤く染まっている。



「自意識過剰とかだったらすごく恥ずかしいんだけど、もしかして告白しようとしてる…?」



口を塞がれたまま、こくんと頷く。



どうしよう、聞きたくないほど嫌だったのかな…?


私は告白さえも許してもらえないの…?



「まじか…。そっか、うん」



そんなことを考えていると、流くんは何やら一人で呟き、そっと手を離してくれた。



「こういうのは、ちゃんと俺から言わせて。俺は咲良のことが好きだよ」


「……………え?」



たっぷり時間を置いてから出てきた言葉は、間抜けな「え?」だった。



「十歳も離れてる俺なんかが好きって伝えていいのかずっとわからなくて。もしも咲良にその気がないなら今までみたく会えなくなるでしょ?それだけは嫌だったんだよ」
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