バレンタインと恋の魔法
「今日は年に一度、女子から好きな男子に堂々と想いを伝えられる日です。みなさんには、大切に想う誰かはいますか?」
瀬名くんに渡そうと思っていたバレンタインは、結局何も作らなかった。
いっそのこと、この想いを伝えてしまいたかったけど、それもやめた。
「だけど、別にバレンタインは女子からだけじゃなくたっていいと思います。だって俺は、自分から言いたいから」
私が伝えたところで、瀬名くんの気持ちは決して変わることはないから。
「朝比奈翠さん。俺は、朝比奈さんが好きだよ」
どうしたって朝比奈さんには敵わないんだ。
「あーもう!さっさと行きなよ!朝比奈さんも瀬名くんが好きなんでしょ!?」
「あ、あの姫宮さ…」
「言われなくたってもうわかるよ!だから、早く行って!瀬名くんが好きなのは、朝比奈さんしかいないんだから!」
朝比奈さんは戸惑ったように視線を泳がしてから、強く何かを決意した目をして行ってしまった。
「あーあ」
ずるずると壁を背にして、体育座りをする。
そのひざに顔を埋めて、涙を必死に堪える。
「…ほんとに馬鹿だな、おまえ」
瀬名くんに渡そうと思っていたバレンタインは、結局何も作らなかった。
いっそのこと、この想いを伝えてしまいたかったけど、それもやめた。
「だけど、別にバレンタインは女子からだけじゃなくたっていいと思います。だって俺は、自分から言いたいから」
私が伝えたところで、瀬名くんの気持ちは決して変わることはないから。
「朝比奈翠さん。俺は、朝比奈さんが好きだよ」
どうしたって朝比奈さんには敵わないんだ。
「あーもう!さっさと行きなよ!朝比奈さんも瀬名くんが好きなんでしょ!?」
「あ、あの姫宮さ…」
「言われなくたってもうわかるよ!だから、早く行って!瀬名くんが好きなのは、朝比奈さんしかいないんだから!」
朝比奈さんは戸惑ったように視線を泳がしてから、強く何かを決意した目をして行ってしまった。
「あーあ」
ずるずると壁を背にして、体育座りをする。
そのひざに顔を埋めて、涙を必死に堪える。
「…ほんとに馬鹿だな、おまえ」