バレンタインと恋の魔法
「天馬って一個上の天馬琥太郎先輩のこと?」
帰る支度をしていた隣の女子が、私の言葉に反応して顔を傾げてきた。
「天馬琥太郎?」
「うん。その人有名だよ。毎日どっかしら怪我してて、夜とか怖い人たちと歩いてるとこ見たって人が何人もいるんだ。いわゆる不良少年。怒らせたらすぐ殴ってくるから、みんな怖がっちゃって近づく人とかいないんだって」
「そうなんだ…」
…そんな悪い人には、見えなかったのにな。
「杏ちゃん、その人がどうかしたの?」
「あ、ううん!ちょっと気になっただけ!それより、カフェ行くんでしょ。早く行こ」
不思議そうにしている翠の背中を押して、教室を出た。
*
翠とできたばかりのカフェで他愛もないことを話していると、あっという間に三時間が経った。
駅まで翠を送って、踵を返して家までの道を歩く。
「…ん?」
明るい繁華街を歩くガラの悪いグループの中に、見知った制服の後ろ姿を見つける。
「あ、天馬せん…」
「いって」
帰る支度をしていた隣の女子が、私の言葉に反応して顔を傾げてきた。
「天馬琥太郎?」
「うん。その人有名だよ。毎日どっかしら怪我してて、夜とか怖い人たちと歩いてるとこ見たって人が何人もいるんだ。いわゆる不良少年。怒らせたらすぐ殴ってくるから、みんな怖がっちゃって近づく人とかいないんだって」
「そうなんだ…」
…そんな悪い人には、見えなかったのにな。
「杏ちゃん、その人がどうかしたの?」
「あ、ううん!ちょっと気になっただけ!それより、カフェ行くんでしょ。早く行こ」
不思議そうにしている翠の背中を押して、教室を出た。
*
翠とできたばかりのカフェで他愛もないことを話していると、あっという間に三時間が経った。
駅まで翠を送って、踵を返して家までの道を歩く。
「…ん?」
明るい繁華街を歩くガラの悪いグループの中に、見知った制服の後ろ姿を見つける。
「あ、天馬せん…」
「いって」