バレンタインと恋の魔法
「最初はヤンキーだと思って怖かったよ。だけど先輩は何回も困っている私を助けてくれた。表情はわかりにくいけど嬉しいことがあると目をキラキラ輝かせるところとか、川田さんたちを大切にするところとか、本当はめちゃくちゃ優しいところとか。どんどんいろんな先輩を知っていくうちに好きになった。だから、もっと先輩と一緒にいたいよ。もっといろんなところに行きたい。ラブとも会いたい。お店にだって通いたい。先輩の隣に、いたいの…!」
涙でぐちゃぐちゃでとてもじゃないけど先輩に、好きな人になんて見せる顔じゃなかった。
それでもなんとか最後まで言い切り、半分八つ当たりのように持っていたお菓子の袋を先輩に投げつける。
先輩はハッと我に返った様子で、戸惑いながら床に落ちた袋を拾い上げる。
そして不器用ながらも丁寧に袋を開けていき、中からマドレーヌを一つ取り出した。
「今日はバレンタイン。私が、天馬先輩に想いを伝えられる日。…味は保証しないけど」
そっと一口マドレーヌを齧った先輩が、ぐっと吹き出しそうになりながら顔をしかめた。
私はスイーツが大好きだけど、大がつくほどの料理音痴なのだ。
一度も上手にできたことなんてない。
それでも、好きな人にはやっぱり手作りをあげたいから。それが恋する乙女の心情ってものだ。
「…まっずい」
「だから、味の保証はしないってい…」
突然、先輩に体をふわっと持ち上げられた。
ひざの裏に回された手がくすぐったい。
「な、なに!?」
涙でぐちゃぐちゃでとてもじゃないけど先輩に、好きな人になんて見せる顔じゃなかった。
それでもなんとか最後まで言い切り、半分八つ当たりのように持っていたお菓子の袋を先輩に投げつける。
先輩はハッと我に返った様子で、戸惑いながら床に落ちた袋を拾い上げる。
そして不器用ながらも丁寧に袋を開けていき、中からマドレーヌを一つ取り出した。
「今日はバレンタイン。私が、天馬先輩に想いを伝えられる日。…味は保証しないけど」
そっと一口マドレーヌを齧った先輩が、ぐっと吹き出しそうになりながら顔をしかめた。
私はスイーツが大好きだけど、大がつくほどの料理音痴なのだ。
一度も上手にできたことなんてない。
それでも、好きな人にはやっぱり手作りをあげたいから。それが恋する乙女の心情ってものだ。
「…まっずい」
「だから、味の保証はしないってい…」
突然、先輩に体をふわっと持ち上げられた。
ひざの裏に回された手がくすぐったい。
「な、なに!?」