バレンタインと恋の魔法
「…大丈夫だよ。絶対にそんなことはない!私が断言する!どれだけ宙翔くんが麗のことを好きか、それは麗が一番わかってるんじゃないの?」



会えなくても必ず毎日「おはよう」と「おやすみ」を連絡してくれる宙翔。


体調が悪い時は仕事を休んでまでそばにいてくれる宙翔。



どんな時でも宙翔は私を大切に大切に想ってくれている。



「…私は、宙翔を信じて待つ」



きっとこの恋は最初で最後のものだから。


宙翔以上に好きになれる人なんて、もう絶対に出会えない。



「じゃあ、またね麗。次会う時は、結婚式かな」



明るく笑う依茉ちゃんに私も笑顔で手を振り返して、改札に消えていく後ろ姿を見送った。



時刻はもう夕方になっていた。


そろそろ宙翔が帰ってくる頃だ。



「ただいまー…」



玄関にはすでに宙翔の靴が置いてあり、帰ってきていることがわかった。


…だけど、何かがおかしい。部屋の電気がついていないし、誰かがいる気配もしない。



「…宙翔?」
< 79 / 82 >

この作品をシェア

pagetop