嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
「まあ、とにかくテオは強いな」
カルロは気を取り直したように笑顔を見せると、ポンとテオドールの肩を叩く。
「ありがとう」
テオドールもカルロにつられて笑う。
「幻獣抜きだったら俺のほうが強いがな」
「バカを言うな。幻獣抜きでも俺のほうが強い」
無言で睨みあったふたりは、どちらからともなく笑いあう。
「そういえば、テオが奥様のことを呼ぶと思っていなかったから団員達がざわついていたぞ。試合が終わったあとに団員達に慰労の言葉を掛けていて、感じのよい方じゃないか。まだ奥様を見たことがない団員も多かったから、すごい美人だって話題になっていた」
カルロに楽しげに言われ、テオドールは言葉に詰まる。
テオドールはリーゼロッテのことを剣技大会に呼んでいない。けれど彼女が見に来てくれて優勝後に笑顔で祝福してくれたことに対し、悪い気はしなかった。
むしろ、テオドールに向けられた笑顔は花が綻ぶようで美しいとすら思った。
(なぜ彼女は、毒婦などと噂されていたんだ?)
心の奥底で燻っていた疑問は、日を追うごとに大きくなる。リーゼロッテについて知ればこの違和感も解消するのかと思っていたが、解消するどころか大きくなる一方だ。
「カルロ。以前頼んだ、リーゼロッテに関する調査はどうなっている?」