嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
「リーゼロッテも知っている通り、俺は屋敷を不在にすることが多い。その間の代行は当時セドリックに任せていたが、既に婚約者としてここに住み始めていた彼女はあるとき、『自分も婚約者なのだから手伝いたい。あなたの役に立ちたい』と言い出した。それを鵜呑みにして許可したのが、間違いだった」
テオドールは膝に肘を乗せ、両手を握り締める。
「彼女は俺の不在を狙っては国境の通行証を不正に発行し、それを密売組織に売ることで私腹を肥やしていた。皮肉にも、自分を誘拐して売ろうとした密売組織に、今度は彼女自体が加担したんだ」
「そんなっ」
あまりの展開に、リーゼロッテは両手で口を覆う。けれど、たしかに5年ほど前に密売組織による奴隷の不法売買が問題になっていた記憶があった。