嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
「もちろんだ」
「では、手のひらを胸の前に、わたくしに見せるように広げてください」
「こうか?」
テオドールはいぶかし気に、大きな手をリーゼロッテに見せるように胸の前で広げる。
「はい、結構でございます。では、覚悟してくださいませ」
リーゼロッテは立ち上がり両腕を腰に当てて、表情を固くしたテオドールに告げる。
(よしっ)
リーゼロッテは勢いをつけると、テオドールの手を目指して「えいっ!」と思いっきり拳を打ち込む。テオドールはその拳を難なく片手で受け止めた。
「リーゼロッテ。これでは全く効かない」
「いいのです。痛めつけたいわけではありませんし、旦那様が反省してくださったならそれで充分です。わたくしの悪評が立っていたのは事実ですし、わたくしも手が痛くなるのは嫌です」