嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉

 リーゼロッテの異変に気付いたテオドールがカルロを追い返そうとしたが、リーゼロッテは彼の言葉を遮って「大丈夫です」と告げる。

 カルロは迷うようにテオドールを見る。テオドールが頷いたので、話し始めた。

「イラリア王女なんだが、ナリータ国に向かうのは三か月後の四月だ。その途中にラフォン領に立ち寄り、一週間ほど滞在したいと」
「一週間だと?」

 テオドールは眉根を寄せる。途中の宿泊地として一泊することは想定していたが、一週間は想定外だ。
「どうする? 最近なんだか森の幻獣達が落ち着かない様子だし、無理だったら早めに難しいと──」
「いいえ」

 リーゼロッテは声を上げる。

 王室からの希望を断れば、少なからず心証を悪くする。本来、屋敷に来る賓客のもてなしや家令の執り仕切りは女主人であるリーゼロッテの役目だ。ならば、テオドールのためにも役に立ちたいと思った。
< 147 / 198 >

この作品をシェア

pagetop