嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
リーゼロッテの視線に気づいたイラリアはアドルフを見上げ、彼に片手を差し出す。アドルフはその手を取ると、甲に口づけを落とした。
「実はアドルフにも相談されていたの。婿養子になることを盾にリーゼロッテ様から傲慢かつ高圧的な態度ととられ、ほとほと困り果てていたと」
「傲慢かつ高圧的?」
リーゼロッテは唖然として聞き返す。
傲慢かつ高圧的な態度など、一度も取った記憶はない。
(どういうことなの?)
批判の意を込めてアドルフを見るが、相変わらず彼はリーゼロッテのほうを一切見ようとしない。
「……アドルフ様がそうおっしゃったのですか?」
婚約者なのだから、リーゼロッテが困っていれば助けてくれると信じていた。あまりにも酷い対応に、聞き返す声がかすれる。
「ええ、そうよ」
イラリアの返事を聞き、リーゼロッテは心底がっかりした。
たしかにアドルフとは政略による婚約関係で、ふたりの間に愛だの恋だのといったものはない。しかし、だからこそリーゼロッテはアドルフをビジネスパートナーとして尊重していたし、将来は仲良く穏やかな家庭を築きたいと思っていたのに。
だが、そう思っていたのはリーゼロッテだけだったようだ。
「大事な臣下達が困っているのに見過ごすことなど、わたくしにはできないわ。だから、今回一肌脱ぐことにしたのよ」
イラリアはそこまで言うと、またアドルフを見上げて彼の頬を優しくなぞる。アドルフはイラリアの手に頬ずりするように目を細め、彼女の手に自分の手を重ねた。
「実はアドルフにも相談されていたの。婿養子になることを盾にリーゼロッテ様から傲慢かつ高圧的な態度ととられ、ほとほと困り果てていたと」
「傲慢かつ高圧的?」
リーゼロッテは唖然として聞き返す。
傲慢かつ高圧的な態度など、一度も取った記憶はない。
(どういうことなの?)
批判の意を込めてアドルフを見るが、相変わらず彼はリーゼロッテのほうを一切見ようとしない。
「……アドルフ様がそうおっしゃったのですか?」
婚約者なのだから、リーゼロッテが困っていれば助けてくれると信じていた。あまりにも酷い対応に、聞き返す声がかすれる。
「ええ、そうよ」
イラリアの返事を聞き、リーゼロッテは心底がっかりした。
たしかにアドルフとは政略による婚約関係で、ふたりの間に愛だの恋だのといったものはない。しかし、だからこそリーゼロッテはアドルフをビジネスパートナーとして尊重していたし、将来は仲良く穏やかな家庭を築きたいと思っていたのに。
だが、そう思っていたのはリーゼロッテだけだったようだ。
「大事な臣下達が困っているのに見過ごすことなど、わたくしにはできないわ。だから、今回一肌脱ぐことにしたのよ」
イラリアはそこまで言うと、またアドルフを見上げて彼の頬を優しくなぞる。アドルフはイラリアの手に頬ずりするように目を細め、彼女の手に自分の手を重ねた。