嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
道行く人々はいつもとなんら変わらない笑顔を浮かべ、楽しげにおしゃべりしている。
(何もないといいけれど)
どことなく不安を感じる。
リーゼロッテはそれを振り払うように、小さく首を振った。
◇ ◇ ◇
ラフォン領はイスタールの辺境の地に位置する。普段王族が訪れることなどまずないので、イラリアの来訪は領民を大いに沸かせた。
もうそろそろ到着するという先ぶれを受け、リーゼロッテは屋敷の前で、テオドールと並んで彼女の来訪を待つ。
「王女殿下!」
「イラリア殿下」
多くの人々の歓迎を受けながら、イラリアは馬車から降り立った。
「お会いできて光栄です。イラリア殿下」
「ようこそいらっしゃいました。イラリア殿下」
テオドールとリーゼロッテはイラリアに深くお辞儀をする。全面に刺繍が施された豪華な靴が視界に入った。
「出迎え、ご苦労様」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」
テオドールがようやく顔を上げたので、リーゼロッテも姿勢を正す。
数年ぶりに会うイラリアは、最後に会ったあの日と何も変わらなかった。艶やかな金髪に、海のような青い瞳。決して大柄ではないのに他人を見下すような威圧感のある視線は、やっぱり慣れない。
(何もないといいけれど)
どことなく不安を感じる。
リーゼロッテはそれを振り払うように、小さく首を振った。
◇ ◇ ◇
ラフォン領はイスタールの辺境の地に位置する。普段王族が訪れることなどまずないので、イラリアの来訪は領民を大いに沸かせた。
もうそろそろ到着するという先ぶれを受け、リーゼロッテは屋敷の前で、テオドールと並んで彼女の来訪を待つ。
「王女殿下!」
「イラリア殿下」
多くの人々の歓迎を受けながら、イラリアは馬車から降り立った。
「お会いできて光栄です。イラリア殿下」
「ようこそいらっしゃいました。イラリア殿下」
テオドールとリーゼロッテはイラリアに深くお辞儀をする。全面に刺繍が施された豪華な靴が視界に入った。
「出迎え、ご苦労様」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」
テオドールがようやく顔を上げたので、リーゼロッテも姿勢を正す。
数年ぶりに会うイラリアは、最後に会ったあの日と何も変わらなかった。艶やかな金髪に、海のような青い瞳。決して大柄ではないのに他人を見下すような威圧感のある視線は、やっぱり慣れない。