嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉

(誰かがドラゴンに近づいて怒らせたのか?)

 今朝の火災騒ぎのせいで、幻獣騎士団の団員の大部分はテオドールと共に東部まで来ている。今ドラゴンが町を襲ったら、食い止めるのは困難だ。

 脳裏に、リーゼロッテのことが浮かぶ。

「ルカード、戻るぞ」

〈ああ、任せろ〉

 テオドールが合図するのとほぼ同時に、ルカードは空を疾走する。翼を持つグリフォンは馬の何倍もの速さで走ることができる。それなのに、今日はこの時間がもどかしく感じた。

(何もなければいいのだが……)

 テオドールは屋敷の方向を真っすぐに見つめる。
 一分一秒が、永遠のように感じた。

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