嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
テオドールはリーゼロッテを地上に降ろすと、すぐにルカードに跨り幻獣騎士たちの中心に戻っていった。リーゼロッテを追うように、彼女の乗っていたヒッポグリフも近くに降り立つ。
(旦那様……)
リーゼロッテは胸の前でぎゅっと手を握り締める。
テオドールは強い。世界最強とも言われる幻獣騎士だ。
けれど、ドラゴン相手に無事に帰って来られる保証など何もないのだ。
(旦那様に何かがあったら)
そう考えただけで、胸が押しつぶされそうだ。
そのとき、リーゼロッテはふとドラゴンの様子がおかしいことに気付いた。
(何をしているのかしら?)
リーゼロッテは呟く。
ドラゴンは地上すれすれを飛ぶと、また戻ってすれすれを飛ぶという不思議な行動を繰り返していた。
その様子をじっと見ていて、ハッとした。
(卵を探している? イラリア殿下が巣から持ち出したから──)
森は頭上から見ると木々の葉に覆われ、地面は見えない。空を飛ぶドラゴンがボール程度の大きさしかない卵を見つけるのは至難の業だろう。
(返してあげないと)