嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
テオドールは何の感情もこもらない声で言う。
テオドールは二十二歳のとき、一度結婚した。しかし、妻となった女は結婚式当日の夜に死んだ。
あの忌まわしい事件があってから結婚などもうこりごりだと思っていたが、辺境伯家の当主として後継ぎを設ける必要があり、そうも言っていられないことはわかっている。
周囲がこれ以上煩くならないうちに、手を打つのも一計だろう。
「周囲を貶め、男漁りをするような毒婦だぞ⁉」
「それが本当かは会ってみないとわからないだろう? それはお前が一番知っているはずだ」
テオドールの言葉に、カルロはぐっと言葉に詰まる。
──血に塗られた辺境伯。
それはテオドールの周囲からの評判だ。そんな彼に仕えているからこそ、人の噂など当てにならないことをカルロは誰よりもよく知っていた。
「……テオがそれでいいなら、俺は反対しないよ」
「では、決まりだな。話を進めようか」
テオドールは執務机の端に置かれた羽根ベンを手に取る。リーゼロッテ=オーバンを娶ることに合意するという旨を記すと、最後にサインを入れた。
◇ ◇ ◇
テオドールは二十二歳のとき、一度結婚した。しかし、妻となった女は結婚式当日の夜に死んだ。
あの忌まわしい事件があってから結婚などもうこりごりだと思っていたが、辺境伯家の当主として後継ぎを設ける必要があり、そうも言っていられないことはわかっている。
周囲がこれ以上煩くならないうちに、手を打つのも一計だろう。
「周囲を貶め、男漁りをするような毒婦だぞ⁉」
「それが本当かは会ってみないとわからないだろう? それはお前が一番知っているはずだ」
テオドールの言葉に、カルロはぐっと言葉に詰まる。
──血に塗られた辺境伯。
それはテオドールの周囲からの評判だ。そんな彼に仕えているからこそ、人の噂など当てにならないことをカルロは誰よりもよく知っていた。
「……テオがそれでいいなら、俺は反対しないよ」
「では、決まりだな。話を進めようか」
テオドールは執務机の端に置かれた羽根ベンを手に取る。リーゼロッテ=オーバンを娶ることに合意するという旨を記すと、最後にサインを入れた。
◇ ◇ ◇