嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
開かれた扉からまず目に入ったのは、巨大な建物だった。王都でよく見る三階建ての窓がたくさんついた屋敷ではなく、ブロックを積み上げた要塞のような建造物だ。至る所にかがり火が灯されており、建物全体がオレンジ色に浮かび上がっている。
「どうぞ」
リーゼロッテの目の前に、白い手袋をした手が差し出される。
見上げると、リーゼロッテの父であるオーバン公爵よりやや若いくらいの年頃の男性がこちらを見つめていた。白髪交じりの茶色い髪は後ろでひとつにまとめられ、白いシャツの上に、ズボンと同じ黒色のジャケットを着ている。
(この方はテオドール様ではないわよね?)
どう見ても軍人には見えないし、二十五歳にも見えない。
「はじめまして。リーゼロッテ=オーバンでございます」
馬車から降りたリーゼロッテは、相手が誰であろうと失礼があってはならないと丁寧に挨拶をする。
「お待ちしておりました。私はラフォン辺境伯家で家令を務めておりますセドリックでございます。どうぞ、セドリックとお気軽にお呼びください。テオドール様はまだ外出先から戻っておりませんので、先に部屋に案内します」
「ありがとうございます」
お礼を言うと、セドリックは灰色の目を少しだけ細める。
(態度と口調は丁寧だけど、警戒されている感じね)
リーゼロッテ自身を見定めようとしているような視線に、居心地の悪さを感じた。
「どうぞ」
リーゼロッテの目の前に、白い手袋をした手が差し出される。
見上げると、リーゼロッテの父であるオーバン公爵よりやや若いくらいの年頃の男性がこちらを見つめていた。白髪交じりの茶色い髪は後ろでひとつにまとめられ、白いシャツの上に、ズボンと同じ黒色のジャケットを着ている。
(この方はテオドール様ではないわよね?)
どう見ても軍人には見えないし、二十五歳にも見えない。
「はじめまして。リーゼロッテ=オーバンでございます」
馬車から降りたリーゼロッテは、相手が誰であろうと失礼があってはならないと丁寧に挨拶をする。
「お待ちしておりました。私はラフォン辺境伯家で家令を務めておりますセドリックでございます。どうぞ、セドリックとお気軽にお呼びください。テオドール様はまだ外出先から戻っておりませんので、先に部屋に案内します」
「ありがとうございます」
お礼を言うと、セドリックは灰色の目を少しだけ細める。
(態度と口調は丁寧だけど、警戒されている感じね)
リーゼロッテ自身を見定めようとしているような視線に、居心地の悪さを感じた。