嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
(王命で性悪な女を押し付けられたのだから、それもそうよね)

 屋敷の玄関で出迎えてくれている使用人たちも、心なしか視線が冷たい。

「皆様、はじめまして。これからよろしくお願いします」

 リーゼロッテはしっかりと顔を上げ、彼らに笑顔を向ける。

 にこりと微笑んで挨拶をすれば、それまで鋭い視線を向けていた使用人たちがはっと息を呑むのがわかった。

(何もやましいことなどないのだから、俯いちゃだめ)

 リーゼロッテは自分自身に言い聞かせる。将来はオーバン公爵家を切り盛りする身として育ってきた矜持が、リーゼロッテを凛とさせた。

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