嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
「こちらは今月のお渡し分です」
会長が硬貨の入った袋をリーゼロッテに手渡す。
「いつもありがとう」
「いえ、お礼を言うのはこちらのほうです。皆、奥様には心から感謝しております。余裕が出たぶん、公共事業などへの寄付金に回す余裕も出ています」
リーゼロッテはその言葉を聞き、口角を上げる。
(いい傾向ね)
この商工会長はまだ三十代半ばと若いが、その分考え方が柔軟でリーゼロッテの提案を次々実現してゆく行動力もある。ビジネスパートナーに彼を選んだのは正解だった。
「そうだ」
会長が思い出したように声を上げる。
「ラフォン領でとれるリンバット石ですが、奥様の仰る通り『情熱の赤』と銘打って売り出したところ売り上げが倍増したそうです。特に、小ぶりの石をバラの形に配置したものが人気だとか」
「まあ、本当に? よかった!」
リーゼロッテは胸に手を当てて喜びを顕わにする。