嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
   ◇ ◇ ◇

 その知らせが届いたとき、テオドールは来季の幻獣騎士団の配置計画に関する会議に参加中だった。息を切らした警邏騎士が突然会議室に侵入してきて、誰もが眉をひそめた。

「おいおい。見ての通り今は会議中だ」

 カルロが立ち上がり、現れた警邏騎士を追い返そうとする。警邏騎士はその場で跪き、「町でヒッポグリフが暴れています」と告げた。

「ヒッポグリフが? 誰のだ?」
「商人が連れてきたので、まだ誰のパートナーにもなっていない固体かと」
「そりゃあ、まずいな」

 カルロは舌打ちする。

 商人の連れている野生もののヒッポグリフはただでさえグリフォンの血が濃く、気性が荒い。下手に近づけば幻獣騎士とてただでは済まないだろう。

「すぐに行くぞ」

 横で話を聞いていたテオドールはさっと立ち上がる。

「ああ、わかった」

 カルロとその部下達もテオドールに続いた。

 相棒のルカードに跨り、上空から町を見る。

「どこだ?」

〈あの橋のあたりから、ヒッポグリフの気配を感じる〉

 テオドールの問いかけに、ルカードが答える。

〈甘い香りがするな……〉

 ルカードがぼそりと呟く。

< 97 / 198 >

この作品をシェア

pagetop