婚約破棄? それなら僕が君の手を
ファーストダンスが終わり王太子と離れた令嬢に、ジョルジュは素早く近づいた。王太子が令嬢に目配せした気がして、気障な奴だと思ったが、それは見逃すことにする。こちらは一分一秒を争うのだ。他の男に先を越されてはいけない。
ジョルジュは間一髪で令嬢の前に滑り込む。息が上がっている事を悟られないように令嬢に微笑むと手を差し出した。
「次は私と踊っていただけますか?」
周囲では争いに敗れた男達が成り行きを見つめている。
「は、はい。」
リサ・ワイルダー伯爵令嬢はとても小さな声で了承してくれた。近くで見ると翡翠のような瞳が本当に美しく、引き込まれそうになる。控えめにジョルジュの手を取ると滑らかに踊り始めた。
ダンスの間、リサは伏し目がちで王太子と踊った時のように目を合わせてくれない。何とかこちらを向かそうと話しかけた。
「リサ嬢は学園には通っていましたか?」
「いえ……体が弱かったもので……。」
これまた蚊の鳴くような声である。しかも目は合わない。動きも先程までと違ってぎこちなく感じられる。
そうジョルジュが思っていたところで、リサがバランスを崩して盛大にジョルジュの靴を踏んづけた。ぐらりと傾いた体を支えると、蒼白な顔をしたリサがこれでもかと謝罪する。頭が床につきそうな勢いだ。
「も、申し訳ございません!!」
「いや、ダンスをすればこういう事は起こるものだよ。」
ジョルジュは微笑みかけて、リサの腰に腕をまわし壁の方へ誘導する。
「で、でも靴が……。」
「少しくらい傷があっても問題ないさ。それよりも足は怪我してないかい?痛むならゲイツ家の控室で休むといい。すぐそこだから。」
そう言うと、ジョルジュはリサを会場の外へ連れ出そうとした。リサは会場を振り返り誰かを探していたが、結局はジョルジュについてくる。足を少し引きずっているようだ。
ジョルジュは間一髪で令嬢の前に滑り込む。息が上がっている事を悟られないように令嬢に微笑むと手を差し出した。
「次は私と踊っていただけますか?」
周囲では争いに敗れた男達が成り行きを見つめている。
「は、はい。」
リサ・ワイルダー伯爵令嬢はとても小さな声で了承してくれた。近くで見ると翡翠のような瞳が本当に美しく、引き込まれそうになる。控えめにジョルジュの手を取ると滑らかに踊り始めた。
ダンスの間、リサは伏し目がちで王太子と踊った時のように目を合わせてくれない。何とかこちらを向かそうと話しかけた。
「リサ嬢は学園には通っていましたか?」
「いえ……体が弱かったもので……。」
これまた蚊の鳴くような声である。しかも目は合わない。動きも先程までと違ってぎこちなく感じられる。
そうジョルジュが思っていたところで、リサがバランスを崩して盛大にジョルジュの靴を踏んづけた。ぐらりと傾いた体を支えると、蒼白な顔をしたリサがこれでもかと謝罪する。頭が床につきそうな勢いだ。
「も、申し訳ございません!!」
「いや、ダンスをすればこういう事は起こるものだよ。」
ジョルジュは微笑みかけて、リサの腰に腕をまわし壁の方へ誘導する。
「で、でも靴が……。」
「少しくらい傷があっても問題ないさ。それよりも足は怪我してないかい?痛むならゲイツ家の控室で休むといい。すぐそこだから。」
そう言うと、ジョルジュはリサを会場の外へ連れ出そうとした。リサは会場を振り返り誰かを探していたが、結局はジョルジュについてくる。足を少し引きずっているようだ。