婚約破棄? それなら僕が君の手を
ローズクォーツ
リシェルが座る長椅子の横の1人掛けの椅子に王太子カイトが座る。
「これは殿下。殿下といえど少し不躾だと思いますが。」
女性を口説いている所を邪魔されて、ジョルジュ・ゲイツは不機嫌さを隠さない。
「殿下はリサ嬢を婚約者にとお望みなのでしょうか。しかし、王太子妃には我が姉のほうが家格も教養も優れていると思いますよ。」
そして身内を売り込む事も忘れない。
しかしカイトはにっこり微笑むと
「少し気になることがあってね。」
とジョルジュに告げた。
すると、部屋の扉が開けられ、テイラー伯爵と令嬢のルーナが入ってくる。カイトはそれに驚く事もなく、リシェルに合図を送る。リシェルは入口の扉脇にいる騎士にこっそりベルベットの袋を渡すと侍女の誘導で隣りの部屋に移動した。
侍女に手伝ってもらい急いでドレスから王宮府の制服に着替えて、またもとの部屋に戻る。ジョルジュの向かいの長椅子にはテイラー伯爵親子が座っていたので、リシェルは座らず、入口近くの護衛騎士の隣りに立っていることにした。
ジョルジュは一緒に戻った侍女にリサが何処に行ったのか聞いていたが、王太子に
「君はしらなくて良いことだろう。」
とあしらわれ何も言えずにいる。とはいえ、大事な袋を渡したまま居なくなられてはジョルジュも困るだろう。
アントンの横に立ちながら、リシェルはジョルジュを気の毒に思っていた。
「気にするなよ。」
アントンが小声で話しかけてくる。
「あの女性に惚れるな、というところに無理があるんだ。」
リシェルは複雑な気分で長椅子に座る面々を見つめていた。
「これは殿下。殿下といえど少し不躾だと思いますが。」
女性を口説いている所を邪魔されて、ジョルジュ・ゲイツは不機嫌さを隠さない。
「殿下はリサ嬢を婚約者にとお望みなのでしょうか。しかし、王太子妃には我が姉のほうが家格も教養も優れていると思いますよ。」
そして身内を売り込む事も忘れない。
しかしカイトはにっこり微笑むと
「少し気になることがあってね。」
とジョルジュに告げた。
すると、部屋の扉が開けられ、テイラー伯爵と令嬢のルーナが入ってくる。カイトはそれに驚く事もなく、リシェルに合図を送る。リシェルは入口の扉脇にいる騎士にこっそりベルベットの袋を渡すと侍女の誘導で隣りの部屋に移動した。
侍女に手伝ってもらい急いでドレスから王宮府の制服に着替えて、またもとの部屋に戻る。ジョルジュの向かいの長椅子にはテイラー伯爵親子が座っていたので、リシェルは座らず、入口近くの護衛騎士の隣りに立っていることにした。
ジョルジュは一緒に戻った侍女にリサが何処に行ったのか聞いていたが、王太子に
「君はしらなくて良いことだろう。」
とあしらわれ何も言えずにいる。とはいえ、大事な袋を渡したまま居なくなられてはジョルジュも困るだろう。
アントンの横に立ちながら、リシェルはジョルジュを気の毒に思っていた。
「気にするなよ。」
アントンが小声で話しかけてくる。
「あの女性に惚れるな、というところに無理があるんだ。」
リシェルは複雑な気分で長椅子に座る面々を見つめていた。